貴方へ送る五つの恋文  (title by sein)

一. 拝啓 誰よりも好きだった貴方へ

貴方の名前を今日も呼ぶ。届くわけもないのに。
貴方を失って初めて、私の心は貴方でいっぱいだったことに気づかされる。
貴方はすべてわかっていたのでしょう。
貴方を失うことで、私の心が恨みや憎しみに囚われることもすべて。
貴方が用意した道しるべにそって行くことは、癪だけど私には他にどうすることもできない。
私にはもう、何も残されてはいないのだから。


二. 拝啓 優しくて残酷な貴方へ 

私はずっと貴方に言いたかったことがある。
貴方は優しくて、そして、時に残酷だ。


三. 拝啓 愛の言葉を無くした貴方へ 

貴方の生き様を、あの日の真実を、すべて知った。
どれほど苦しかったろう。どれほど辛かったろう。
自分を偽り続けて、生きることがどれほど辛い事か、私には想像できない。
貴方一人にすべてを背負わせてしまった。
できることなら、力になりたかった。そして、貴方の口から全て聞きたかった。
そう、願わずにはいられない。
それが、もう決して叶わないことだど、わかっていても。


四. 拝啓 約束破りな貴方へ 

貴方は、いつも約束を守らない。
それでも、貴方はいつも約束をくれた。
私がそれに縋って、生きていくことを貴方はわかっていたのでしょう。
だから、守れないとわかっていても貴方は約束をくれた。
それが、どれほど有難かったか。私の生きる意味になったか。
もう、貴方に伝えられるすべはないとわかっていても…
それでも、私は貴方に伝えたい。ありがとう、と。


五. 拝啓 違う空を見ている貴方へ

貴方は今、どこにいますか。どんな空を見ていますか。
今、私の見える空は真っ暗です。
雲も太陽も星も月も何も見えない。ただの暗闇。
それでも、光を求めて私は進むでしょう。
貴方と過ごした日々を思いながら…